世界中には、とてもたくさんの感染症が存在します。その多くはワクチンがまだ開発されておらず、有効な手段がありませんが、いくつかの病気ではワクチンによる予防が可能になっています。
これを「ワクチンで防げる病気」=「VPD(Vaccine Preventable Diseasesの略)」と言います。
かかると治療が難しかったり、命にかかわる合併症がおきる可能性のある病気だからこそ、ワクチンが作られています。
「ワクチンさえ接種していれば」という残念な思いを、小児科医であれば必ず経験しています。だからこそ我々小児科医はワクチンをお勧めするのです。
よくお母さんから「この予防接種はいつまでに受ければよいのですか?」と聞かれることがあります。
予防接種はその病気にならないため、あるいは軽くするためのものですから、本来その予防接種が可能になったらできるだけ早く接種して安心な状態を作ることが重要です。
また、効率よくスケジュールを組むために複数のワクチンの同時接種も、世界中で認められたスタンダードな方法です。
ロタウイルスワクチンにはロタリックスとロタテックの2種類があります。
下表のような特徴がありますので、実際に接種するまでにどちらにするか決めておいてください。
また接種の際、空腹な状態でワクチンを飲ませるために、授乳後1時間以上は間を空けて受診してください。
※横にスクロールします
ロタリックス | ロタテック | |
材料ウィルス | ヒトロタウィルス | ウシロタウィルス |
ワクチンの構成 | 単価 | 多価 |
含有する血清型 | G1P[8] | G1,G2,G3,G4,P[8] |
接種回数 | 2回 | 3回 |
重症ロタウィルス 下痢症に対する有効性 |
ほぼ同等 | ほぼ同等 |
接種可能期間 | 生後6週〜24週 | 生後6週〜32週 |
証明されている 免疫の持続期間 |
約3年間 | 約7年間 |
以前から法律上医師が認めた場合は複数のワクチンを混合することなく同時に接種することが可能でした。
近年ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタワクチンなど接種すべきワクチンが増えている中、効率よく接種していくために、現在では複数ワクチンの同時接種が勧められています。
この方法は日本を除くほとんどの国で問題なく実施されており、安全性の確認されたワクチン接種方法です。
不活化/不活化、不活化/生、生/生、いずれの組み合わせでも有効性に差はなく、副反応も差が見られないと国際的には考えられています。
同時接種は、予防接種の受診回数を減らすことでご家族の負担を減らすとともに、終了までの期間を短縮し、効率よく免疫をお子さんにつけてあげることで、予防できる疾患にかかってしまう危険を早くから減らしてあげることが大事な目的です。
同時接種の意義をご理解いただき、ご検討下さいますようお願いします。
もし、どうしても心配という方は単独接種で始めて安心感がでてきたら同時接種にするのも一つの方法でしょう。
ロタテックorロタリックス①、肺炎球菌①、B型肝炎①、5種混合ワクチン①
ロタテックorロタリックス②、肺炎球菌②、B型肝炎②、5種混合ワクチン②
ロタテック③、肺炎球菌③、5種混合ワクチン③
BCG
B型肝炎③(①の20週後)
麻疹・風疹+水痘+おたふくかぜ(有料)
5種混合ワクチン+肺炎球菌の追加
水痘の追加
Hib❶+肺炎球菌❶+B型肝炎❶+四種混合❶+ロタテックorロタリックス❶
Hib❷+肺炎球菌❷+B型肝炎❷+四種混合❷+ロタテックorロタリックス❷
Hib❸+肺炎球菌❸+四種混合❸+ロタテック❸
BCG
B型肝炎❸(❶の20週後)
麻疹・風疹+水痘+おたふくかぜ(有料)
Hibの追加+肺炎球菌の追加
水痘の追加+四種混合の追加
注射の生ワクチン同士は最低4週間あけます。それ以外の接種間隔については自由になりました。注射の生ワクチンとは、BCG、麻疹風疹の混合(MR)、おたふくかぜ(ムンプス)、みずぼうそう(水痘)です。